2006年06月19日

過剰適応(5)/青木

さて、教訓2:「日本の(大学)社会は、基本的にコネと人脈を中心にまわっている」についてですが、これを説明するには、なぜぼくが大学に残らなかったかを語るといいかもしれません。博士論文まで書いてなんで大学に残らなかったかと不思議がられることはよくあるのですが、答えはカンタン、ぼくには非常勤講師の口ひとつなかったからです。ただしこの事態は、早稲田の大学院内部でもやや例外的なことかもしれないので、あくまでもぼく個人のケースとしてお読み下さい。

大学内部では常識でありながら、大学の外ではあまり知られていないことに、非常勤講師の雇用の問題があります。非常勤のコマというのは、基本的にほぼすべてコネでまわっています。知り合いから知り合いへと受け継がれるわけです。具体的に言うと、指導教官が担当の院生のためにコマを確保したり、先輩から後輩に受け継がれたりするわけです。ぼくもドクター・コースの終り頃は教員公募の採用告知などよく見てましたが、哲学・思想関係での非常勤講師の公募というのは一回しか見たことありません。応募しましたけど、落ちました。
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2006年06月15日

過剰適応(4)/青木

なんだかちょっと「過剰適応」というテーマからは脱線気味と思われるかもしれませんが、院生時代のぼくの身の上話を続けます。この先、だんだんとグチっぽい内容になっていっちゃうんですけど、本来の意図はグチではないので、その点はどうか了解して下さい。

まず教訓1:「大学院生活において、病気、特に長患いをすると大変な目にあう」についてですが、これは主に経済的なことです。といっても、医療費ではないのですよ。学生保健に入っていれば、医療費はかなりの程度戻ってきます。問題なのは生活費です。大半の院生の経済生活は、アルバイトやパートの収入と奨学金で成り立っています。奨学金は主に旧育英会、現在の独立行政法人「日本学生支援機構」から「貸与」されます。そう、あくまで「貸与」、いつかは返済しないといけないお金です。結構、いい金額が振り込まれます。ぼくの時代で文系の修士課程では月に7万弱、博士後期課程で月に10万強だったと記憶しています(さっきから奨学生手帳を探しているのに見つからないので、正確じゃないかもしれません)。ただし、在籍期間全部にわたってというわけではなく、最低年限だけ振り込まれます。つまり、修士課程なら2年間、博士後期課程なら3年間だけ支給されます。

ぼくの場合、奨学金の使い道はまず学費等の支払いでした。これで2、3ヶ月分くらいは消えてしまいます。あとは本の購入や学会費、アルバイトだけでは足りない生活費などです。それでも奨学金とアルバイトを足せば、贅沢さえしなければ、十分暮らして行けました。病気をするまでは。
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2006年06月13日

過剰適応(3)/青木

どうも梅雨入り前の時期から毎年、心理的に軽い「バテ」に襲われます。気圧の変化が原因であろう、というのがぼくなりの仮説。でも確証がありません。温度や湿度と違って、気圧は「おっ、今1000ヘクトパスカルくらいだな」とか、体感としてわかんないですからね。今週からはまた元気出していこうと思ってます。

現在出ている「群像」7月号の「Review Films」のコーナーで、作家の雨宮処凛さんが4月30日の「自由と生存のメーデー」デモへの弾圧のこと、さらには「労働」をめぐる近年の現実について記しています(「プレカリアートと靖国」というタイトルの文章です)。さっすが、感度がいいですね、雨宮さん。4月30日のデモに関しては、ぼくが確認したかぎりでは、「SPA!」の6月6日号にも写真入りで報道されていました。でも、日本の社会の「現在」を露骨に象徴するこの事件は、本来もっと大きく取り上げられるべきです。大手マスコミは、また「ばっくれ」かよ。デモに対する弾圧の経緯に関しては、このブログ内の池田さんの記事をどうか参考にして下さい。

さて今回からは、ぼくの大学院生時代の記憶をほじくり返しながら、過剰適応の問題を具体的に考えようと思うのですが、大学の外からだと院生の生活って見えにくいかもしれません。あくまで早稲田の文学研究科、それもぼくが在籍していた当時、つまり今から5年以上前の話に限定しますが、簡単に大学院の制度をお話します。

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posted by aoki at 17:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 青木 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月04日

過剰適応(2)/青木

前回はハンガリーの作家ケルテース・イムレの小説『運命ではなく』を取り上げて、過剰適応の話を進めました。ハンガリーの、それもナチス占領下時代の話となると、「今の日本とは関係ないじゃん」と思われるかもしれないけど、ケルテースと似た観点から過剰適応の問題を扱っている作家は日本にも、それも若い世代にいるのです。中村文則さんがそうです。中村さんの作品の主人公の多くは、養子体験を背負っています。そして、よく読むとわかるのですが、この主人公たちは、ひとまず本能的に環境に順応しようとする過剰適応の徴候を見事に示しています。

ケルテースと中村文則さんの文体を簡単に比較してみましょう。訳者の岩崎悦子さんが指摘していることですが、『運命ではなく』では「……と思われる」「……のように見える」といった挿入的な文章がよく出てきます。中村文則さんのデビュー作『銃』の中には、「……よくわからなかった」という終り方をする文章がたくさん出てきます。どちらも自分で自分の欲望や意志を確認しなければすまない心のあり様を表していると思えますが、「……よくわからなかった」という分だけ、中村さんの主人公のほうが重症と言えるかもしれません。基本的に中村文則さんの作品の主人公たちは、自分の気分や欲求でさえ自分で所有しているという実感を抱いてはいません。適応のために心のエネルギーの大半を使い果たしているのです。そのような状態からいかにして自分の生きる権利を作り出すか、ここに中村さんの作品の大きなモチーフのひとつがあります。

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2006年06月03日

事件の経緯についての資料/池田

12月20日早大文学部における不当逮捕を許さない
 ← 抗議文の掲載ページ。

事件の経緯
 ← 当該団体、つまり逮捕された青年が所属している団体による、逮捕時件にいたるまでの経緯が掲載。

早稲田大学ビラ撒き逮捕事件、教員7名「公開質問状」
 ← 早稲田大学のスタッフである、岡山茂氏、藤本一勇氏、谷昌親氏、斎藤純一氏、岩田駿一氏、原章二氏、猪股正廣氏による公開質問状。文学部からの参加はデリダの研究者として知られている藤本氏のみ。

学生・教職員のみなさまへ
 ← 早稲田大学第一文学部、第二文学部、文学研究科名義による説明。私人逮捕についてはまったく触れられていない。



以下、それぞれのサイトおよび新聞記事から、事件の経緯について述べられている部分を引用する。


■朝日新聞朝刊12月29日■
■警視庁の調べなどによると、男性は20日昼、東京都新宿区の文学部がある戸山キャンパスで、学生会館移転問題に絡むビラをまいた。学校側がキャンパスの外に出るように求めたが従わなかったため身柄確保(私人による逮捕)をし、警察に通報して引き渡した。調べに対し、男性は黙秘しているという。


■抗議文からの引用■
■12月20日昼ごろ、早稲田大学文学部キャンパス内において、早大再編について考え、反対する行動告知のビラをまいていた一人の人間が、突然7,8名の文学部教職員に取り囲まれて、そのまま警備員詰所に軟禁され、その後、その教員らが呼び入れた牛込警察署員によって「建造物不法侵入」の容疑で逮捕されてしまいました。


■「事実の経緯」からの引用■
■12月20日の昼ごろ、東京都新宿区の早稲田大学文学部キャンパスで、ある青年がビラ撒きをしようとしていました。ビラの中身は、2001年7月31日の早大キャンパス内サークル部室強制撤去以降行われている、早大当局による言論弾圧、集会破壊に抗議する行動を告知するためのものです。学内に入りふと気がつくと、彼はどこからともなく現れた7〜8名の文学部教員に取り囲まれていました。彼はそのまま警備員詰所に連行、軟禁された上、第二文学部教務担当教務主任らが導入した牛込警察署の警察官によって"建造物侵入"の容疑で逮捕されてしまったのです。


■公開質問状からの引用■
■12月20日に早稲田大学文学部構内で、地下部室撤去と学生会館移転問題に関わるビラをまこうとした男性が逮捕されました。朝日新聞(12月29日朝刊)には、「学校側がキャンパスの外に出るように求めたが従わなかったため身柄確保(私人による逮捕)をし、警察に通報して引き渡した」と書かれています。


■「学生・教職員のみなさまへ」からの引用■
■1) 2005年12月以降、早稲田大学構内への立ち入り禁止の仮処分(20 01年7月31日東京地方裁判所決定)を受けている者が文学部正門脇に 立ち、それと共同して文学部構内でビラを配布する者が出没した。そこで、 立ち入り禁止者の動向を注視していたところ、12月15日に、ビラを配 布している者が、教員の一人に対し、その家族の安全に関することで脅迫 を行った。
■2) この事件について、文学学術院執行部で協議した結果、脅迫に関しては所 轄警察署に通報し、文学部正門前の警備を要請した。当該教員のみならず、 その家族の安全をも脅かす言動であり、放置できないと判断したからであ る。なおこの件は、12月20日の教授会において報告、了承されている。
■3) 12月20日の正午過ぎ、15日に脅迫を行った者が、文学部構内スロー プ上に立て看板を置き、ビラを配布し始めた。学生証の提示を求めたが応 じないため、構内からの立ち退きを求め、いったんは退去させた。しかし、 再度構内に侵入し活動を始めた。そこで、繰り返し立ち退きを求めたが、 応じなかったために、警察に通報した。
■ 4)脅迫を行った者は、早稲田大学とは全く関係のない人物であることが判明 した。

posted by ikeda at 16:24| Comment(0) | TrackBack(1) | 池田 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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